頑丈で価値が下がりにくいランドクルーザーは、国内外で人気のある車ですが、その分、窃盗団に狙われやすい車としても知られています。
とくに神奈川県のように都市部や大きな道路が多い地域では、車の盗難や車上荒らしが増えており、警察もたびたび注意を呼びかけています。ランドクルーザーのオーナーにとっては、普段からの対策がとても大切です。
この記事では、神奈川県警が出している月別・場所別・警察署別のデータと全国の統計をもとに、被害が起こりやすいエリアや時間帯、犯行の手口をわかりやすくまとめました。そのうえで、すぐに実践できる防犯対策と、長く使えるセキュリティ対策についても詳しくご紹介します。
神奈川県におけるランドクルーザー盗難の現状

神奈川県は人口も車の数も多く、首都圏の物流ルートにも入りやすいため、自動車盗が急増することがあります。2025年7月末の時点で、県警は前年より大きく増えたと発表しており、注意を呼びかけています。
ランドクルーザーだけの件数は県の資料には載っていませんが、全国の統計では特に狙われやすい車種とされているため、神奈川県内でも警戒が必要です。
県警のウェブサイトでは、月ごとの変化や場所・警察署ごとの傾向も確認できるので、自分の住んでいる地域の状況と照らし合わせて、最新の情報を定期的にチェックすることが大切です。
自動車盗・車上ねらいの発生状況

2025年7月末までに、神奈川県で発生した自動車盗は489件にのぼり、前年の同じ時期と比べて80.4%も増加しました。車上ねらいも702件と多く、こちらも22.3%の増加が見られます。
どちらも「少しの時間だけ鍵をかけなかった」「見えにくい場所に停めた」「鍵の管理が甘かった」といった油断がきっかけになることが多いです。県警では、確実に鍵をかけることや、盗難防止グッズの活用を呼びかけています。
オーナー自身も、ふだんの習慣を見直すだけで盗難リスクをぐっと下げることができます。たとえば、自宅の車庫であっても必ず施錠する、スペアキーを車内や近くに置かない、貴重品は車内に残さないなどの基本を守ることが、増加傾向にある被害から身を守る大事な第一歩になります。
月別および場所別の発生状況
2025年の自動車盗は、春ごろから件数が増え始め、とくに7月には93件と、今年のなかで最も多い月になりました。季節の行事や旅行、出張の増加、夜間の駐車環境の変化などが影響して、特定の時期に被害が集中しやすい傾向があります。
場所別で見ると、「駐車場」での被害がもっとも多く、全体の約46.8%を占めています。次に多いのが、集合住宅や一戸建て住宅の敷地内で、あわせて3割ほどを占めます。路上駐車は割合としては少ないですが、暗い場所や人通りの少ないところでは狙われやすくなります。目が届きにくい場所ほど注意が必要です。
ランドクルーザーは車体が大きいため、月極駐車場や商業施設の平置き駐車場などを使う機会が多く、結果として犯人にとってチャンスが増えてしまう場合があります。駐車場所を選ぶ際にも、防犯の視点を持つことが大切です。
警察署別の盗難件数

神奈川県警の警察署ごとのデータを見ると、横浜市内では神奈川署(30件)、鶴見署(26件)、緑署(24件)、港北署(22件)、戸塚署(20件)などで、自動車盗の件数が多くなっています。これらの地域は港や大きな道路、物流拠点に近く、車をすばやく移動・分解・積み替えできる環境がそろっているため、犯行が起こりやすいと考えられます。
また、川崎臨港や藤沢、厚木、相模原といった工業地帯や物流エリアでも被害が目立っています。こうした場所が通勤ルートに含まれている方は、特に注意が必要です。夜間に駐車する場所をよく選び、確実な施錠に加えて、ハンドルロックやタイヤロックなどの物理的な防犯対策もあわせて行うようにしましょう。
ランドクルーザー盗難の統計データ
全国レベルの統計を重ねて見ると、ランドクルーザーの狙われ方が突出している現実がはっきりします。損保会社の支払いデータを集計した年次調査では、車名別のランキングでランドクルーザーが最上位の常連となっており、部品取りや海外転売のターゲットとして価値が高いことが裏づけられています。車両本体盗難の支払い件数は年を追って全体では微減傾向も、1件当たりの保険金は上昇しており、高額車両が狙われやすい状況は続いています。

ランドクルーザー盗難件数の推移
2024年の車名別データによると、自動車本体の盗難による保険支払い件数で、ランドクルーザーが688件ともっとも多く、全体の27.5%を占めています。2位のアルファード(289件)や3位のプリウス(235件)と比べても、被害の多さが際立っています。このことから、ランドクルーザーが特に狙われやすい車であることがはっきりわかります。
損害保険協会の発表でも、ランドクルーザーは「4年連続で盗難ワースト1」と明記されており、継続して窃盗団のターゲットになっている実態が強調されています。この数字は保険が使われたケースに限られていますが、全国的な傾向をつかむには信頼できる情報です。オーナーは、「日本全体でも特に狙われている車」という前提で、防犯対策を真剣に考える必要があります。
日本におけるランドクルーザー盗難の現状
都道府県別で見ると、愛知県・埼玉県・千葉県・茨城県・神奈川県などが、自動車本体の盗難件数で上位に入っています。神奈川県も2024年には保険支払い件数が179件となり、全国で5番目に多い状況です。
これらの地域は「太平洋ベルト」と呼ばれる産業・物流が集中するエリアにあり、盗まれた車がすぐに移動・解体・海外に運び出せる環境が整っているため、盗難リスクが高くなる傾向があります。
とくにランドクルーザーのように、海外での人気が高く、売りやすいSUVはこうした地域の影響を受けやすく、結果として盗難が特定の地域に集中しやすいという実態があります。地理的な条件も防犯対策を考えるうえで重要なポイントとなります。
盗難が多い地域と時間帯

「どこで・いつ」盗まれやすいかを知っておくことで、限られた時間やお金でも効率よく防犯対策をとることができます。
神奈川県では、港や幹線道路、工業地帯などがある地域のまわりで、盗難件数が多い傾向があります。とくに県境や湾岸に近いエリアでは、盗まれた車がすぐに県外や海外へ持ち出されやすく、リスクが高くなります。
時間帯に注目すると、全国の保険データでは、深夜から早朝にかけての被害が最も多くなっています。この時間帯は人の目が少なくなるため、犯人が動きやすい時間といえます。防犯カメラの設置や、人通りのある場所に車を停めることが、こうしたリスクを下げる有効な手段になります。
神奈川県内の盗難多発地域
警察署ごとのデータを見ると、横浜市内では神奈川・鶴見・緑・港北・戸塚の各署、さらに藤沢・厚木・相模原などで、自動車盗の件数が相対的に多くなっています。これらの地域には高速道路のインターチェンジや大きな幹線道路があり、工業地帯や物流施設が集まっているのが特徴です。
犯人側から見ると、盗んだ車をすぐに移動させやすく、短時間で足がつかない場所まで運べるルートが整っていることが、大きな利点になります。
そのため、こうした地域に車を停める場合は、できるだけ長時間の駐車を避ける、夜は明るく人目のある場所を選ぶ、駐車監視機能つきのドライブレコーダーを活用するといった対策が効果的です。地理的な条件を逆手にとって、防犯に役立てましょう。
盗難が発生しやすい時間帯
全国のデータによると、自動車本体の盗難は「夜10時から翌朝9時ごろまで」の深夜〜早朝に約6割が集中しています。日中は約3割、夕方は約1割と少なく、夜間の住宅街で灯りが減り、人の目が届きにくくなる時間帯に犯行が集中していることがわかります。
多くの場合、犯人は電子キーを使って静かに車を解錠・始動させ、そのまま素早く移動させてしまいます。つまり、こうした時間帯に合わせて対策を取ることで、効率よく防犯ができるということです。
たとえば、夜だけハンドルロックやタイヤロックなどの強力な物理ロックを使う、車庫の照明をタイマーで点灯させる、スマートキーの電波を夜間は遮断するなどの「時間帯に応じた対策」は、費用対効果の高い防犯方法としておすすめです。
ランドクルーザーが狙われる理由と盗難手口

ランドクルーザーが盗難のターゲットになりやすいのは、売りやすさ(換金性)の高さ、海外での人気の強さ、そして犯人側が高度な技術を使える点が重なっているからです。
今の車は電子制御が進んでいるため、昔ながらの強引な盗み方ではなく、特殊な機器を使って静かにロックを解除し、エンジンをかける「静かな窃盗」が主流になっています。これは、防犯装置と盗難技術のいたちごっことも言える状況です。
中でもランドクルーザーのような、高価格で海外需要の高いSUVは特に狙われやすく、盗まれた後はすぐに解体されたり、コンテナに詰めて海外に送られたりする「出口ルート」が整っているため、短時間で追跡が難しくなってしまいます。だからこそ、事前の対策がとても重要になります。
窃盗団の手口と手法
現在の車両盗難の主な手口は、電子機器を使った高度な方法が中心になっています。
代表的なのは、スマートキーの電波を中継して車を開ける「リレーアタック」、車の内部通信網(CAN)に不正に接続してドアやエンジンを操作する「CANインベーダー」、そして整備用の端子(OBD)を使って鍵情報を書き換える方法です。これらは、ガラスを割ったり車を牽引したりする昔ながらの方法と組み合わせて使われることもあります。
警察庁もこうした特殊な機器を使った犯行の存在を正式に認めており、防犯対策は「ひとつだけでなく、いくつも組み合わせて行うこと」が重要だと呼びかけています。たとえば、物理的なロックと電波遮断ポーチの併用、駐車環境の工夫など、複数の手段を重ねることで、盗難のリスクを大きく減らすことができます。

ランドクルーザーが狙われる理由
ランドクルーザーは耐久性や走破性に優れ、年式が古くても海外では高く売れることが多いため、「強い通貨」のような存在といえます。損害保険の調査で4年連続で盗難件数ワースト1になっているのも、その換金性の高さを物語っています。
盗まれた車は、ヤード(解体場)で分解されたり、コンテナに詰められて海外に送られたりするケースが多く、警察の資料でもこうした流れが確認されています。一度バラバラにされて中古部品として市場に出てしまうと、車を元の状態で取り戻すのは非常に難しくなります。
ランドクルーザーは、海外での高い需要と、盗難後に車をスムーズに処理できる「出口ルート」の両方が整っているため、今後もしばらくは狙われ続けると見ておくべきでしょう。
神奈川県内の被害事例
藤沢市/2025年6月23〜24日夜〜朝
車種・特徴:ランドクルーザープラド TX(2019年式)
手口・被害内容:自宅マンションの駐車場から盗難。ハンドルロックを取り付けていたが、電動工具で切断し突破。防犯カメラに男2人の犯行映像あり。
厚木市愛甲/2025年8月13〜14日夜〜朝
車種・特徴:ランドクルーザープラド 150系/ホワイト系
手口・被害内容:22時〜翌朝5時の間に盗難。発見日時・その他詳細は未公開。
効果的な盗難対策とセキュリティ方法
盗難対策の基本は、「いくつかの方法を組み合わせる=重ねがけすること」です。
まず、目に見える物理ロック(ハンドルロックやタイヤロックなど)で、犯行に時間がかかるようにします。次に、電子的な攻撃に対しては、スマートキーの電波を遮断したり、一時的に機能を止めたりして、入り口をふさぎます。そして万が一盗まれてしまった場合でも、車の位置を追跡できるようにしておけば、回収できる可能性が高まります。
このような「防ぐ・入りにくくする・見つけやすくする」の三段構えを、自宅・外出先・旅行中など、どこでも実行できるようにしておくことが大切です。ランドクルーザーのように人気のあるSUVでも、しっかり備えれば被害のリスクは大きく下げられます。
費用をかけすぎず、普段の生活で無理なく続けられる対策から始めるのが、長く続けるポイントです。

盗難防止策とセキュリティ対策
まず何より大切なのは、たとえ短時間でも必ず施錠することです。そしてスマートキーは玄関付近など、外から電波が届きやすい場所に置かないように注意しましょう。日ごろから鍵の管理をしっかりするだけでも、防犯効果は大きくなります。
次に、ハンドルロックやタイヤロック、警報装置など「目に見える防犯対策」を取り入れることで、犯人に「手間がかかりそうだ」と思わせ、犯行をためらわせる効果があります。
さらに、夜間はスマートキーを節電モードにしたり、電波を遮るポーチや金属製の容器に入れておくことで、リレーアタックを防ぐことができます。
万が一に備えて、GPS付きの位置追跡装置や、駐車中も録画できるドライブレコーダーを使っておくと、盗難後の早期発見や証拠の確保に役立ちます。警察や損保などの公的機関も、こうした複数の対策を組み合わせて行うことを強くすすめています。
車庫やガレージでの盗難対策
自宅の車庫は「安全だから大丈夫」と思いがちですが、実際には住宅の敷地内でも盗難被害は発生しています。むしろ安心しすぎて対策が甘くなりがちな場所だからこそ、しっかりと防犯を意識することが大切です。
たとえば、シャッターや門扉に鍵をかける、補助錠をつけるといった基本的な対策に加えて、夜間に自動で点灯する照明や、死角を照らすセンサーライト、防犯カメラの設置などで「監視されている」環境をつくることが有効です。こうした「見える防犯」は、犯人の心理的なハードルをぐっと上げてくれます。
また、外から車が見えないように駐車位置やレイアウトを工夫する、車輪止めや地面に固定できるロックを使って、車をすぐに動かせないようにするなど、侵入後の行動を難しくする対策も効果的です。
警視庁も、自宅駐車場における照明やカメラの設置、複数の対策を組み合わせることを強く推奨しています。
おすすめの盗難対策グッズ
防犯対策は、日常的に無理なく使えるものから順に導入するのが長続きのコツです。使いやすさを重視することで、継続しやすくなり、防犯効果も高まります。



まとめ
神奈川県では、2025年に入ってから自動車盗が大きく増えており、駐車場や住宅の敷地内での被害が目立っています。全国の統計でも、ランドクルーザーは4年連続で盗難ワースト1という厳しい状況が続いています。
被害が多く発生している時間帯は、深夜から早朝。犯行手口も進化しており、スマートキーの電波を悪用する「リレーアタック」や、車の電子制御に不正アクセスする「CANインベーダー」など、電子的なアプローチが主流になっています。
こうした背景をふまえると、防犯対策は「重ねがけ」がポイントです。確実な施錠、電波の遮断、物理的なロック、監視カメラやセンサーライト、GPSによる位置追跡などを、日常生活の流れに合わせて無理なく組み合わせていくことが、現実的かつ効果的な方法といえます。