SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)は、大きめの車体や四輪駆動といった特性のために「燃費が犠牲になる」というイメージを持たれがちです。
しかし近年はハイブリッド技術や軽量化、シリーズハイブリッド・e-POWERなどの新しい駆動方式、WLTCモードなどの実際の使用に近づけたモード測定の普及などにより、「燃費の良いSUV」が続々と登場しています。
本記事では、まず燃費重視でSUVを選ぶべき理由とその基準を整理し、2025年時点で特におすすめのモデルをランキング形式で紹介します。
さらに、SUVならではの特徴や、さらに燃費を向上させるための運転・維持方法も詳しく取り上げます。これを読めば、燃費性能を重視しながらも満足できるSUV選びができるようになります。
燃費の良いSUVの選び方と基準

燃費を重視する理由とは?
近年、ガソリン・燃料の価格変動が激しく、維持費の一部として燃料費が占める割合が大きくなっています。特に長距離通勤や週末の遠出など、年間の走行距離が多い方にとって「燃費の良さ」は毎年の支出に大きく関わります。
また、環境規制・CO₂削減の観点から、低燃費車には税制優遇や補助金が適用されることも多く、ランニングコストの削減だけでなく購入時の総費用にも影響します。
さらに静粛性や加速感の滑らかさなど、燃費性能の高い車はエンジンやモーターの制御が洗練されていることが多く、乗り心地の満足度にもつながります。
燃費性能を確認するためのポイント
燃費の良いSUVを選択するにあたって確認すべき具体的な基準がいくつかあります。まず「WLTCモード」など、現在日本で主に使われている燃費測定モードの数値をチェックすること。これは実際の走行に近いモードなので、カタログの数字とのギャップが小さく、実用性が高いです。
次に、車両重量・駆動方式(2WD/4WD)・タイヤのサイズ・エンジンの種類(ガソリン・ハイブリッド・PHEVなど)を見比べること。これらは燃費に直接影響します。
さらに、実燃費のレビュー・ユーザー報告も参考にするのが良いでしょう。最後に、維持費(燃料以外の点検・税金・保険など)と車両価格を含めたライフサイクルコストで判断することが、本当に「燃費が良い」=コストパフォーマンスの良いSUVを選ぶ鍵になります。
WLTCモードとは

WLTCモードとは、「Worldwide Harmonized Light Vehicles Test Cycle(世界統一軽自動車試験サイクル)」の略で、日本を含む世界各国で使われている自動車の燃費・排出ガス測定方法のひとつです。
PHEVとは
PHEV(プラグインハイブリッド車)は、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車に、大容量バッテリーと外部充電機能を備えた自動車です。
家庭用コンセントや充電スタンドから直接バッテリーに充電できるため、短距離走行では電気自動車のようにエンジンを使わず走行でき、静かで環境負荷が少ないのが特徴です。
長距離走行やバッテリー残量が減った際にはガソリンエンジンも利用できるため、電欠の不安がなく利便性が高い点がメリットです。燃費性能に優れ、環境への配慮と実用性を兼ね備えた次世代のエコカーとして注目されています。
2025年版!燃費の良いSUVランキングTOP10
以下は、2025年時点で燃費性能・実用性のバランスが良いSUVモデルをピックアップしたランキングです。実際の燃費はグレードや駆動方式によって変動します。
トヨタ ヤリスクロス

ヤリスクロスは、軽量ボディとトヨタのハイブリッド技術の組み合わせにより、WLTCモードでかなり優れた燃費を誇っています。
都市走行でも高速道路でもバランス良く燃費を維持できる点が高評価。また、車体が小ぶりでありながら居住性も確保されており、燃費と使いやすさの両立が魅力です。
ホンダ ヴェゼル

ヴェゼルはe:HEVシステムを採用しており、発進・停止が頻繁な市街地での燃費改善が見込めます。室内空間の広さや快適性にも定評があり、燃費だけでなく乗り心地を重視したい人にも合います。
マツダ CX‑30

マツダのスカイアクティブ技術が活かされており、ハイブリッドではないモデルでも比較的燃費が良いです。また、デザイン性とドライバーの操作感にも定評があり、コーナリングや加速時のレスポンスを犠牲にしないところがポイントです。
日産 キックス

e-POWERなどのシリーズハイブリッド方式を採用することで、エンジンがモーターを発電する用途に専念し、駆動をモーター中心に行う方式が市街地での燃費に強みを発揮します。
レクサス UX

プレミアムSUVでありながら、ハイブリッドモデルで燃費を比較的抑えており、ブランド価値・内装質感も高いため、燃費だけでなく高級感を求める人向け。
トヨタ RAV4

ミドルクラスSUVとして、サイズ・車重はあるもののハイブリッドグレードが用意されており、燃費と実用性・積載性のバランスが取れているモデルです。
スズキ ハスラー

軽SUVとして、小回り・税制・維持費などコスト面で非常に有利。燃費性能の良い軽自動車SUVは通勤や街乗り中心の使い方にマッチします。
フォルクスワーゲン T‑Roc

輸入SUVの中では比較的コンパクトな車体にターボエンジンを搭載しており、燃費面でも頑張っているモデル。輸入車を検討する際の選択肢として価値があります。
三菱 OUTLANDER PHEV

プラグインハイブリッドで、短距離であれば電力のみで走行可能。普段の移動が市街地・近距離中心なら燃料使用を抑えられます。長距離時の燃費はハイブリッド/ガソリン車に依存します。
BMW X1

プレミアムブランドでありながら、燃費改善技術(ターボダウンサイズ・アイドリングストップなど)を取り入れ、サイズを抑えたグレードであれば意外に燃費が良いモデルもあります。
燃費の良いSUVの特徴とメリット
ハイブリッドSUVの利点

ハイブリッドSUVとは、ガソリンエンジン+電動モーターを組み合わせた駆動方式を持つSUVです。発進時や低速巡航時など、モーター駆動が主になる状況でエンジンを停止できるため、そのぶん燃料消費を抑えられます。
また回生ブレーキを活用し、ブレーキ時の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収してバッテリーを充電できるので、無駄が少ない設計です。
さらに、ハイブリッド車はアイドリングストップ機能やエンジンの最適制御(エンジン回転数・点火タイミングなど)も高度になっていることが多く、走行条件によってはガソリン車を大きく上回る燃費性能を発揮します。
初期費用はやや高くなりがちですが、燃料コスト・税制優遇・補助金などを含めたトータルコストで見れば十分元が取れるケースが多いです。
軽量ボディがもたらす燃費向上

車体重量は燃費に直結します。SUVのような車高が高く重めの車は重量が増えることで慣性が大きくなり、発進・加速時にエネルギーを余分に使います。そこで、軽量素材の使用、シャシーや車体構造の最適化、ホイールやタイヤの軽量化などが燃費改善に効きます。
また車体が軽くなるということは、エンジンにかかる負荷も減少するため、燃費だけでなくブレーキ・サスペンションなどの耐久性やメンテナンスコストにも良い影響を与えることがあります。
軽量車はコーナーリングや走行のレスポンスにも優れ、ドライバーの扱いやすさという点でもメリットがあります。
燃費をさらに向上させるための運転テクニック

エコドライブの基本
エコドライブとは、「急発進・急ブレーキを避ける」「ゆったりとした加速を心がける」「定速走行を保つ」「無駄なアイドリングを減らす」など、運転操作を燃費重視にすることです。
具体的には、発進の際はアクセルを一定に踏み込み過ぎないようにし、シフトアップ(ATなら早めのギアチェンジ)を意識すること。
また高速道路では、車間を一定にして滑らかな流れに乗ること、エンジン回転数の上げ過ぎを抑えることが有効です。さらに、タイヤの空気圧チェックも忘れずに、指定値より低いと転がり抵抗が増えて燃費が悪くなります。
定期的なメンテナンスの重要性

燃費を良い状態で保つためには、車両のメンテナンスが欠かせません。エンジンオイルの交換、エアフィルターや燃料フィルターの清掃・交換、スパークプラグの点検、タイヤのローテーションやアライメント調整などを定期的に行うこと。
これらが劣化すると燃焼効率が落ちたり、摩擦抵抗が増えたりして燃費に悪影響を与えます。また、車載重量が大きい荷物を不要に積まない、ルーフキャリアを外して風の抵抗を減らすなどの「軽量化」と「空気抵抗低減」も意識すると良いです。
まとめ
燃費の良いSUVを選ぶには、まず「燃費を重視する理由と目的」を明確にし、それに見合った基準(測定モード・駆動方式・車重・実燃費など)で比較することが重要です。
2025年現在、ヤリスクロス、ヴェゼル、アウトランダーPHEVなどが特に燃費の良さで注目されています。特徴としては、ハイブリッドやプラグインハイブリッドの採用、軽量ボディ設計、燃費性能を実用域で発揮できる構造が挙げられます。
加えて、運転方法やメンテナンスなどちょっとした工夫で燃費はさらに改善します。燃費性能だけに囚われず、自分の使い方(通勤・街乗り・アウトドアなど)や予算・維持コストを合わせて、最適なSUVを選びましょう。

